トップへ戻る

埼玉県立循環器・呼吸器病センター視察

福祉保健医療委員会の副委員長として、熊谷市にある埼玉県立循環器・呼吸器病センターを視察しました。

県立循環器・呼吸器病センターは、昭和29年に結核療養所を前身として開設され、平成6年には循環器疾患の高度専門医療を担う病院として改編、その後、呼吸器部門も拡充され、現在のセンターとなっています。 

埼玉県には4つの県立病院があります。

循環器・呼吸器病センター、がんセンター、小児医療センター、精神医療センターです。

今年度、福祉保健医療委員会では、これら県立4病院すべてを視察していく予定で、本日はその第一歩として、県北部の高度専門医療を担う循環器・呼吸器病センターに伺いました。

ゴールデンウィーク明けということもあり、院内には多くの患者さんがいらっしゃり、地域医療を支える現場の重みを改めて感じました。

今回の視察では、病院の機能や先端医療の取組に加えて、病院経営の現実についても率直なお話を伺いました。

県立病院は、民間病院では担いにくい高度専門医療や政策医療を支える重要な役割があります。

一方で、病院経営という観点からは、病床利用率、人件費や物価の上昇、施設の老朽化など、非常に厳しい課題にも直面しています。

特に印象的だったのは、病床利用率についてのお話です。

医療技術の進歩により、かつては長期入院が必要だった治療も、今では短期間で退院できるようになっています。

これは患者さんにとっては大変良いことです。

しかし一方で、入院期間が短くなれば、病床利用率は下がります。

つまり、病床利用率が下がることは、単純に「病院が頑張っていない」という話ではなく、医療の質が上がり、患者さんの負担が減っている結果でもあります。

ただし、経営の観点からは、病床が十分に活用されなければ収支は厳しくなります。

高度な医療体制を維持しながら、どのように病床を適正に運用していくのか。

これは県立病院全体にとって大きな課題だと感じました。

また、建設から30年以上が経過している施設もあり、老朽化への対応も避けて通れません。

医療機器だけでなく、建物や設備そのものをどう維持・更新していくかも、今後の重要な論点です。

さらに、都心から距離があることもあり、医師や看護師、技師などの医療人材の確保が大きな課題となっています。

若い医師が研修や経験を積む場として来てくれる一方で、専門性を持ち、現場を支える中堅層の医師や看護師を継続的に確保することは簡単ではありません。

県北部では、今後さらに高齢化が進みます。

循環器・呼吸器の専門医療だけでなく、高齢者救急や在宅医療、地域の医療機関への医師派遣など、県立病院に求められる役割は広がっています。

地域の医療機関が少しずつ疲弊していく中で、県立病院がどこまで地域医療を支えるのか。

そして、その役割を果たすために、どのような人材・設備・経営基盤が必要なのか。

現地で直接お話を伺うことで、資料だけでは分からない現場の危機感を感じることができました。

県立病院は、県民の命を守る最後の砦でもあります。

一方で、その役割を持続可能なものにしていくためには、経営の現実にも正面から向き合う必要があります。

福祉保健医療委員会の副委員長として、今後も県立4病院の視察を通じて、現場の声をしっかり受け止め、県議会の立場から必要な支援や制度のあり方を考えてまいります。

本日ご対応いただいた県立病院機構、循環器・呼吸器病センターの皆様に心より感謝申し上げます。